株式会社サンデー山口様は、無料地域新聞を発行されている会社です。山口市内全域で配布されており、新聞折込みやスーパーなど、様々な場所でご覧になったことがある方も多いと思います。今回はメディア媒体を扱っていらっしゃるサンデー山口様に興味を持った学生が取材させていただき、地域に根差した無料新聞についてお話を聞かせていただきました。 

サンデー山口さんの事業内容を教えてください。

我々は地域情報を地域の皆様にお届けする無料地域新聞を刊行しています。よりミクロな地域情報をお届けしたいという思いでやっています。会社の設立当初は、山口県にはローカルに特化した新聞がありませんでした。そこで、購読料をとらない、広告料で賄う無料の地域新聞をつくろうという思いで始まり、今に至ります。

代表取締役社長 開作真人様

社内ではどのような仕事内容がありますか?

広告をとってくるための営業や、紙面構成、取材に記事の作成、企画など様々な仕事があります。これらの仕事を兼務することも多いため、社内全体で基本的な紙面構成の共通認識ができるようにしています。今は特に営業ができる人材を求めていますね。

記事情報はどのように入手されているのでしょうか?

プレスリリースと独自のキャッチ方法の両方があります。取材はまず取材先にコンタクトをとって、取材の趣旨など説明し、アポイントをとります。社内で推奨しているのは、事前に質問内容を送り回答をもらって、それを踏まえた上でより深い話を引き出すという方法です。

最初の質問に囚われすぎず、気になるポイントを随時深掘りしていく必要があります。今はどうしても発表資料に頼りがちですが、昔の新聞記者は自分でネタを得るのが生きがいみたいなところがありましたね。

広告はどのような流れで掲載されているのですか?

幸い40年以上の歴史があり認知度が高いため、申し込みや定期でいただいています。求人広告などをスポットで依頼をいただいたりもします。ただ新規の獲得がないと売上が落ちてしまうため、営業で獲得しようと頑張っています。特集企画を組んで、広告の営業をかけていくということはよくやっています。

最近は広告合戦のような形になって、イベントや宴会などの広告の時期が早まっています。その時間的な差を埋めるために、SNSなどを活用しています。紙とSNSでは受ける層がやはり違うため、SNSの即時性と紙の保存性をうまく活かしたいと思っています。

Web版も公開していらっしゃいますが、紙媒体との違いは何ですか?

紙媒体における一番の制約は面積です。ウェブサイトには「完全版」の記事を写真付きで掲載しています。一方、面積に制限のある紙面の方には「完全版」や写真を載せられない場合もあります。広告が潤沢なら、記事の面積も増やせるのですが(笑)。

最近はWebやSNSにも力を入れて発信するようにしています。ただWebに力を入れてもビジネスモデルとして成り立っていないのが難しいところですね。

メーカーだとWebで情報を発信すると商品の販促になりますが、マスメディアがネットに力を入れても売上は返ってきません。我々は情報が商品ですからね。我が社もスマートニュースでも取り上げられることもありますが、それが直接購読者につながっているわけではありません。各新聞社はそれぞれの工夫をしていますが、これを会社の利益にどうつなげるかは難しいところです。紙はコストがかかりますが、ネットは紙や印刷代がかからないため、両方の良いところを活かしていきたいですね。

記事を読まれた方の感想などは伝わってきますか?

人物紹介記事などは反応はわかりやすいですね。特集されたご本人が反応をもらうことが多いそうです。スーパーのレジで声をかけられたりもすると聞きました。全国から反応がくることもあるようです。スマートニュースで記事を提供しているため、こちらがびっくりするくらいの影響力があることもあります。

求める人材像について教えてください。

就活生にアドバイスをするなら、自分というものを持っておく、ということでしょうか。面接では自分というものを押し出すことが大切ですが、何にもない自分を押し出してもしょうがないですからね。就活用に自分を飾るテクニックを磨いてもすぐにバレてしまいます。

会社側からすると、人1人を採用するのにとてもコストがかかります。5年くらい働いてもらってようやく採用コストを回収できます。今は短期間で成果を求める世の中になってしまったため、会社もそう変わらざるを得ない部分があります。

採用場では、面接に来てくださった方が我が社に何をもたらしてくれるのかで考えます。長く勤めてくれるか、利益をもたらしてくれるか、自分で考えることができるのかどうか、という所です。ビジネスの基礎能力は、自分で調べて、自分で理解して、考えて実行する力です。自分は新入社員だからと指示を待っているのとは違います。わからないことはわからないなりに調べることができるかどうかです。

社内では「どうしましょう」は禁句としています。自分なりの考えを示した上で、「これで行こうと思うのですが、それでよろしいでしょうか?」という形があるべき姿だと思っています。自分で調べて考えて、工夫できる人だと面接官に思ってもらえれば就活は成功するのではないでしょうか。

それにはいろいろなチャレンジをして、どれだけの失敗をしたかが大切だと思います。いろんな人と交わることで経験が積まれます。その接触の中からいろいろなことを学び、そうしてコミュニケーション力が鍛えられます。チャレンジから逃げる人は成長しません。失敗しても良いからチャレンジする人が成長するのだと思います。