今回取材させていただいた田村ビルズ様は、不動産事業、環境・リサイクル事業、住宅リフォーム事業、新築事業、足場事業、解体事業など、幅広い事業を手掛けていらっしゃいます。さらに、現在山口県で若者の県外流出が問題になっているなか、県外から新入社員を多く迎えられています。今回は、そんな田村ビルズ様の社風や採用活動について、学生目線で取材してきました。  

現在展開されている事業の魅力はなんですか?

衣食住の住の分野になるのですが、ワンストップサービスで幅広くお客様のご要望に応えることができることです。例えば家を建てようと思った時、まず不動産事業部で土地や家を探します。もし見つけた土地に既に家が建っていたとしたら、環境事業部でその土地の家を解体し、そこから出た廃棄物は当社の廃棄物処理施設で処理、リサイクルします。土地ができたら家を建て、建てた後のリフォームも請け負うことができます。家を売りたくなったら、売却仲介や買取もできますし、ご購入の際は銀行と繋いでローンのお世話などもできます。当社だけで一連のサポートができることが、お客様目線の魅力だと思います。

経済管理本部 採用チームリーダー 山下泰司朗様

入社して成長したと感じることはありますか?

山下様 ビジネススキルもある程度身につきましたが、どちらかというと当社が大事にしている「考え方」という部分が成長したと思います。当社は人として正しいかどうかの原理原則を会社で大切にしています。判断の場面場面で人として正しい判断をしないと、と思えるようになりました。最初は自分のことで精一杯で視野が狭まっていましたが、先輩上司のそういった考え方に触れて、もっと利他的に、外に目を向けた考え方ができるようになってきました。

会社の魅力第一位に「社員」とみなさま挙げられていましたが、魅力的な社員を採用するポイントはなんですか? 

田村社長 魅力的な社員を採用しようとしているわけではないですね。人として正しい言動をとれるように、魅力的な人間になりたいと思っている集団だから、そのような集団の中で揉まれることで人としてそうなっていくのだと思います。人として正しい言動、「悪口を言わない」・「約束をまもる」などのシンプルなことを気を付けてやっていこうと思って日々頑張っています。こういうことは常に意識をしていないと忘れてしまうことだから、朝礼や勉強会で必ず全社員で共有して忘れないようにしています。 

例えば、上司が何か間違っているときに、きちんとそれを指摘することは勇気がいります。ルールを守ることは自分と相手を守ることです。でも勇気が出なくて仕事がうまくいかないことはたくさんあります。働いていると、勇気が必要な場面がたくさんあります。そういったときに、人として正しいことができるように、シンプルだけどそういうことを大切にしています。

代表取締役社長 田村伊幸様

社長が魅力的だと言うお話がよく出てきますが、どのような点が魅力ですか?

山下様 私の就活生時代を振り返ると、説明会に社長がきていたのは後にも先にも田村ビルズだけでした。説明会の時、社長とお話しする機会をいただいて、その時の印象がすごく残っています。社長は本当に忙しいのに、人に対する時間の投資をすごく重視されています。HPに掲載されているような、「”誰”と働くか」という人としての部分を言うだけなら簡単ですが、社長は自らそれを実践して動いていらっしゃいます。私はインターンにも参加したのですが、ベテランの方から新入社員までみんなが社長と同じ考え方をしていて、経営理念や社風が現場まできちんと浸透していました。そういった雰囲気をつくりだせるところが魅力的だと思います。

田村社長 社長が言うことと社員が言うことが同じかどうか確認するのは良いと思います。当社のインターンシップは、当日の社員のぶっつけ本番です。社員側も用意ができない分本音やリアルがわかると思います。何も無い1日があるかもしれないし、クレームの日もあるかもしれない。でもそれがリアルです。会社側も良いところを見せようとしてしまいがちですが、ありのままを見せて、無理なら無理ではっきりわかったほうが良いと思います。恋愛みたいなものですね。 

平成18年から新卒採用を開始されていますが、始めようと思ったきっかけはなんですか? 

田村社長 自分が経営者になるにあたって、自分が採用して同じ想いを共有できる人と働きたいと思いました。現在の不動産事業部は、初めて新卒で採用した社員たちとつくりました。今では当社の主力です。新卒採用を開始して変わったことはたくさんありますが、一番は未来を考えられるようになったことですね。 

動画などを採用活動でよく使われている印象ですが、動画を採用されて何か変化はありましたか? 

田村社長 文字では伝えきれない私たちと働きましょうというメッセージと、私たちの素のままを伝えたいという思いではじめました。新卒向けにやっていたのですが、中途の方がよく見てくださる印象です。世の中の退職理由の8割は人間関係だと思います。だから中途の方は学生以上にそれを気にされています。当社はみんな「さん」付けでお互いを呼び合います。私も最初は名前呼びにして欲しいと頼んでいたのですが、そうしたらみんな私に呼び掛けなくなってしまって…。だから私は「社長」なのですが。子供より下の子に「さん」付けすることもあるため、違和感があることもあります。しかしその違和感が謙虚を生みます。社長だから常に許されるというような勘違いを起こさない。上司や管理職も同じです。

シェアハウスの取り組みはいつから始まったのでしょうか? 

田村社長 7、8年前です。うちは県外からの入社が多いので、県外から縁もゆかりもない山口県に来てもらう形になります。そうするとこちらにコミュニティがなく、寂しいし、健康管理の面など生活も大変です。そういった問題が解消されればと思いました。最初は、個室でプライベートは確保されているとはいえ、共同生活は受け入れられないのではないかと思いました。しかし、実際に入ってきた人たちが楽しそうに暮らしているのを見て、実はみんな軽くゆるやかに繋がりたいんだなとわかりました。 

当社では新卒1年目は必ずシェアハウスに入ってもらい、それからは出ても良し、3年目まで入居しても良しの自由です。学生から社会人になると、生活習慣が変わって慣れないことが多いため、そういった基本的なところの面倒を見てあげられます。さらに共同生活で利他的な思考も身につきます。仕事はバトンタッチですから、後の人のことを考える姿勢が大切です。なのでシェアハウスにも細かいルールがあります。靴を揃えるとか、遅くなるときは連絡を入れるとか、基本的なことです。あとお金が貯まりますよ。社会人として自分の得た給料で生活をマネジメントしていくことは大切ですからね。 

山下様 シェアハウスでは仕事の相談もできます。直属の先輩に言いづらいことなどに寄り添えるのが、シェアハウスの先輩です。そういう負の部分をシェアハウスで解消して、仕事に持ち越さないことが大切だと思います。 

私の場合、一人になりたい時は自分でドライブに行ったり、福岡で友達に会ったりしていました。私も最初は共同生活が苦手でしたが、はじめてシェアハウスに入ったときに、シェアハウスの代表の先輩に「おかえり」と言われ、その雰囲気に安心しました。多分先輩たちもそうやって文化を築いてきたのだと思います。 

山口県では若者の県外流出が問題になっているなかで、県外から学生を呼び込めている秘訣はなんですか? 

田村社長 うちは県外からの就職が8割9割ですね。いつか表彰されるかも。コツは特にありません。九州を拠点に採用活動をしているのですが、関門海峡を越えさせるのが大変です。しかし、この人たちと働きたいと思えば関門海峡くらい越えてきてくれます。場所より毎日顔を合わせる人が大切です。魅力的な集団であれば、あの輪に入りたいと思う人が場所を超えてきてくれます。 

仕事のやりがいを教えてください 

山下様 採用の仕事は、人の人生の分岐点に携わる仕事です。自分の発する言葉や見せる資料が、その人の人生に関わっていると考えたらぞっとすることもあります。最終的に当社を選んでもらわなくても、何かその人の考え方や人生にプラスになるようにという思いで働いています。実際に学生さんからプラスになったという言葉をもらうと、良かったなと思います。 

最近は社内の人材育成にも関わっていて、若手だけの勉強会の運営を同期とやっています。毎回ボロボロになりながら考えて、初めての経験に試行錯誤しています。こういう勉強会など開催していると、後輩に言う以上自分がやらなきゃと、自分の心が磨かれます。そうして少しずつ後輩に変化があると、やりがいを感じます。 

田村社長 「やりがい」として考えたことはあまりありません。

社是『心を高める、経営を伸ばす』

経営理念「ともに豊かに」全従業員の物心両面の幸福を追求するとともに、地域・業界の進歩発展に貢献する 

この2つにどれだけ忠実な経営ができるかという点です。この会社に入って良かったと思ってもらえるような会社であれるようにと考えています。 

就活をしている学生にアドバイスをお願いします 

田村社長 私が今の経験を持ったまま就活生になったなら、必ず社長に会わせてくれと言います。会社はトップが作るものだから、ルールも社風も良くも悪くも経営者が作ってしまうものです。だからどんな大きな会社でも社長に会って話をしたいと言います。もし生意気だと言われたら、この会社は合わないんだとはっきり分かって良いと思います。自分の人生が影響を受けるわけだから、自分の人生がかかっているという気概で臨みます。 

今回インタビューを担当したのは山口大学3年生、山口県立大学4年生の二人