株式会社マルニ様は、総合印刷会社です。今回取材した学生は大学でデザインを学んでおり、ぜひマルニ様を取材させていただきたいと希望を出したところ、快く受け入れてくださいました。 

取材に加えて、工場見学や制作課の方にもインタビューさせていただきました。普段自分たちが勉強していることがどのように仕事として成り立っているのかを勉強することができました。

マルニさんの事業内容について教えてください

私たちは総合印刷会社です。昭和18年創業で、2018年に75周年を迎えました。会報などの定期刊行物や、チラシ、カタログなどを制作しています。他にもパッケージや事務用印刷事業なども行っています。特に定期刊行物の受注が多いことが強みとして挙げられます。

営業部 営業企画課長 兼 人事採用担当 津田優子さん

どのような部署がありますか?

総務経理課、営業課、作業進行課、制作課、印刷課、製本課の6つの部署があります。

総務経理課は電話応対や発注などを行っています。営業課はお客様のところへ商談に向かい、どういうものをつくるかを相談するお客様の窓口です。原稿制作やデザインの確認、納品など、営業の中でもいくつかの仕事に分けられています。

作業進行課は、工程管理をする部署です。印刷の遅れなどをチェックして指示を出したり、印刷のスケジュールを立てるなどしています。営業と工場のパイプ役ですね。

制作課は原稿からデザイン処理をして、出来上がったものをチェックして営業へ送ります。印刷の版(アルミの板に絵柄を焼き付けたもの)の制作も担当しています。

印刷課は出来上がったデザインを紙に印刷していきます。力仕事もあるため男性しかいませんが、女性でも大丈夫です。

製本課は印刷が完了した商品を切ったっり貼ったり折ったりと、最終的な仕上げ作業を行っています。機械や手作業などいろいろな仕事があります。不良品チェックなども厳しく行われています。

工場見学は年にどれくらい人が来ますか?

新卒対象は年に5、6回いらっしゃいます。小学校の社会見学や中高生の職場体験なども受け入れています。職場体験では、全部署を見学していただき、機械をさわってもらったり、製本を実際にやってもらったりしています。

山口県に根差している意識などはありますか?

ありますね。昔は印刷会社自体が地域密着型の事業で、どの街にも印刷会社がいっぱいあり、地元企業の印刷物を請け負っていました。私たちは今でも地元企業の作る印刷物を手がけるという意識はあります。長く営業をしている分地元の方の間で信頼をいただけているので、そこがネット印刷には無い強みですね。対面で営業をすることで、お客様の相談にのってあげることができます。

紙の媒体であることを大切にしている理由はなんでしょう?

私たちは経営理念に、『人と人とを「紙+印刷技術」でつなぐ』を掲げています。紙には一覧性が高い、保存性が高い、読みやすいというメリットの他に、形状による表現ができることや、手触りや色など、紙を選ぶ楽しさもあります。この時代だからこそ、リアルを手に取ってみることができる紙にこだわって技術力を見せていきたいと思っています。

どういう時やりがいを感じますか?

社員に聞いたところ、ほぼ8割9割が「自分が手掛けた印刷物が街に置いてあるのを見た時」と応えてくれました。これはものづくりならではの醍醐味だと思います。印刷物はいろいろなところにあるので、より身近に成果を感じられますね。私たちの仕事でお客様が喜んで下さったら嬉しいです。

求める人材はどのような人でしょうか?

技術の進歩が著しく、変化が激しいため、その変化に柔軟に対応できる人が強いと思います。自分からその変化に対して興味を持って勉強する人が望ましいですね。実際に弊社に興味を持ってくださる方は、紙や本が好きという方や、デザインの勉強をされている方が多いです。だいたい年に2、3人入社されます。

仕事とプライベートの両立はどのようにされていますか?

あまり意識していませんね。人によると思います。きっちり仕事とプライベートを分けている人もいれば、デザインなどは趣味と仕事が関わっている部分もあるので、日常的に街でポスターやチラシを見て自己研鑽をする人もいます。会社からの強制は無いので、本人のやりたいようにやっていますね。

就職活動に対するアドバイスをお願いします。

企業のことをたくさん知っていただきたいです。その企業をどれだけ知っているかで印象が変わりますね。HPだけでなく、合説やパンフレットなどで情報を仕入れている人はわかります。企業もわかってくれている人に来てほしいし、ご自身も企業のイメージがつきやすくて良いと思います。相手を知ることに対して努力をすることが大事ですね。

 

制作課インタビュー

デザインは技術が必要だと思いますが、入社前に何か勉強はされていましたか?

私は大学でデザインを勉強していたので、デザインソフトの勉強などはしました。しかし、学校と会社ではレベルが違うため、会社に入ってから勉強することも多いです。入社後に初めてデザインをしたという方も制作課にいらっしゃいましたよ。普段はIllustrator、photoshop、InDesignなどを使用しています。

学校と会社で感じた違いとは具体的に何でしょうか?

例えば文字の扱い方ですね。字の詰め方など、文字がデザインの中で重要な役割を果たすことを学生時代より意識するようになりました。文字も含めてデザインですから、日々そのあたりの勉強もしています。

大変なことは何ですか?

うっかりしたデザインミスをすると他の方々に迷惑がかかってしまいます。デザインが何か一つ間違えてしまい、製品になった後に気付くと全てがやり直しになって、人の仕事も増えてお金がかかってしまいます。そうならないために、責任感を持って仕事をしています。

デザイン職を目指す人に対してアドバイスはありますか?

いろいろな冊子をみて、デザインのパターンを自分の中で知識をストックしておくことです。実際のチラシをトレースして勉強するなどしたら、力が身につくと思います。

今回インタビューを担当したのは山口県立大学国際文化学部の3年生2人